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にしけんだだだ

2019年の紅白を振り返る

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「第70回NHK紅白歌合戦」録画を見直しています。2019年の紅白は同じようでいつもと違う、そんな紅白でした。司会はウッチャン、嵐、そして綾瀬はるか。ここ2、3年で何度も観たことあるような顔ぶれです。安定の紅白司会陣。今年もいつも通り盛り上げます!という布陣で見せながら、少しずついつもと違う現象が今年の紅白に起きていたような気がしました。

 

単純にテンポがかなり早かったような気がします。曲の前後の審査員、司会のコメントも最小限。例年になくサクサク進む紅白。今までは演出の説明にもがっつり尺が割かれていました。いつもはもっとグダグダしていたし、それも紅白の醍醐味でしたが、時代のせいでしょうか。「なつぞら」主題歌を歌うスピッツが出なくて、朝ドラ特別編が組めず、いろんな要素(主にラグビー)をむりくりブチ込んだせいでしょうか。審査員席に座る草刈正雄じいちゃん、見たかったな。

大きく違っていたのはうらトークの部分でした。前任者バナナマンの事ばかりに終始するあまり、そこまで爪痕を残せなかったサンドウィッチマンを審査員席にコンバート。しかも隣に上沼恵美子を座らせ、M-1を彷彿とさせる並びで「格」をアピールすることに成功しました。


個人的には渡辺直美チュートリアル徳井のシブヤノオト配置を予想していたんですが、徳井さんは例の件で休業。空いたうらトークの椅子に上手ーく座ったのが蒼井優との結婚で話題をさらいながら、NHKでしっかり安定した進行を見せている南海キャンディーズ山ちゃん。この采配にはNHKさすがだなと思ったんですが、山ちゃんの進行、若干NHKNHKしすぎてませんでしたか?丸くなってしまった山ちゃんじゃなかったですか?副音声での山ちゃんに期待するのは、狂犬的な噛みつきなんです。飼い慣らされた犬ではないんです。2020年はテラスハウス副音声での実績もしっかりあるYOUさんに登場してもらって、ねぽりんはぽりんシフトで聴きたいです。徳井さんには一刻も早くテラスハウスに復帰して欲しいです。

 

同じように見えていつもと違っていた点でいえば、演歌勢のエンタメ化がさらに進んだ年でした。ゲストも増えた毎年恒例のけん玉ギネスチャレンジ、ヘラヘラしながら切断マジックをする水森かおりのイリュージョンなど毎年恒例のブロックはさらにパワーアップ。
他にも天童よしみMatt化、目からレーザービームを出すCG山内恵介、五木ひろしwith筋肉サックス、会場全体を津軽海峡にしてしまった石川さゆり、などなど日本が世界に誇るジャパニーズ・ソウル・ミュージックは、いつになくどいつもこいつもトンチキかつ派手に仕上がっていました。
後ろでアイドルに日本舞踊を踊らせるくらいだった頃からすると大きな変化です。演歌の演出がここまで進化したのはやはり、北島三郎先生の「祭り」のスピリットに他なりません。2020年はAI美空ひばりに対抗して、北島ロボ三郎で迎え撃っていただきたいと思います。

そして、ベストアクトは間違いなく氷川きよしでした。
赤と白の衣装で「大丈夫」というメッセージを送り、ジェンダーの文脈で大きな称賛を受けているきよしさんですが、僕はそれだけではないように僕は感じました。

 

氷川さんが歌ったのは「限界突破×サバイバー」。「ドラゴンボール超」のオープニング曲でした。あまり意識されてないかもしれませんが、演歌一筋でやってきた氷川きよしが演歌以外の曲、しかもアニソンを歌う、ということは大きな挑戦だったと思います。演歌ファンの間では少しざわついていたかもしれません。

北島三郎の祭りスピリットの継承者・氷川きよしは、今までも、大量の五郎丸ダンサーズ、おかめ&ひょっとこロボ、などなどトンチキ演出を続けてきた人物です。演歌のエンタメ化の先駆者だったとも言えます。そういう意味でも、2019年は時代が完全にきよしについて追いついたような気がします。

 

今回披露された「龍に乗って登場」もやっていることはいつもと変わらない、紅白における氷川きよしの姿です。氷川きよしはエンタメ化した紅白演歌の演出に、あえてそのまま乗っかることによって、演歌ファンを安心させようとしたのかもしれません。どんな姿でも「氷川きよし氷川きよしだよ」というメッセージ。自分の生きたいように生きながらも今までのファンを忘れない、氷川きよしらしいアクトだったと思います。天晴れでした。

2020年の紅白はどうなるのでしょうか。2019年は、合戦に参加しないという特別枠という部分がかなり多かったように思います。この時世でございます。戦うのはやめましょう。男女で分けるのもやめましょう。赤と白を混ぜて、笑顔と歌声で世界を照らしだす「ももいろ歌合戦」でいかがでしょうか。

 

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